性交渉以外にHIV感染のリスク

A子「私は女性なので、HIVウィルスの母子感染が気になります」

S博士「その心配をしなくていいように、HIV感染の予防をきちんとすることだね」

B男「治療方法がないということは、HIVウィルスってすごく強い病原菌なんですよね?」

S博士「ところがHIVウィルスというのは、病原菌としては非常に弱いんだ。強かったら、空気や水を媒体にして感染してしまうから人類は滅びてしまっていただろうね。病原菌としては弱いんだけれど、体内に入ってしまうと菌を絶滅させることができないのがHIVウィルスなんだよ」

B男「性交渉以外でHIVウィルスに感染するのはどんなときですか?」

S博士「性交渉以外でHIV感染してしまった例として有名なのが、非加熱血液製剤だね。肝炎を治療するときに、血液から生成した薬品を使ったところ、HIV感染者が多く発生してしまったんだ。さっき言ったように、HIVウィルスは非常に弱い病原菌だから、加熱していれば問題がなかったのに、旧式の薬品を日本が認可していたためにそういったことが起こってしまったんだ」

A子「治療に使われた血液製剤がエイズ患者の血液から作られたということですか?」

S博士「そうだよ。海外では貧しい人々が『売血』と言って自分の血液を売ることがあるんだ。つまり、お金をもらって献血すると言うことだね。ただでさえ低所得者の方がHIV感染率が高いというのに、貧困層ほど麻薬常習者が多いために注射針の回しうちでさらにHIV感染者を増やしているという悪循環なんだよ」

B男「注射針でもHIVウィルスに感染するんですね」

S博士「麻薬常習者は注射針の消毒をせずに使い回すために、血液から感染するんだよ」

B男「血液からは感染しやすいんですよね」

S博士「そのとおり。なぜHIV感染者に男性の同性愛者が多いかというと、アナルセックスの際に傷がついて出血をするからなんだ。肛門は多くの血管があつまっているから非常に出血しやすい場所なんだ」

HIVの感染経路と予防

コンドーム

A子「S博士、HIV感染者と一緒に暮らすと感染の危険はありますか?」

S博士「HIVウィルスは空気感染しないから、一緒に生活するだけでは感染しないよ」

B男「HIVウィルスの感染経路を教えてください」

S博士「まずは精液があるね。射精の前に出ているカウパー氏腺液は知ってるかな?」

B男「我慢汁とか先走り液とか言われてる透明なものですよね?」

S博士「そうだよ。そのカウパー氏腺液にもHIVウィルスが含まれているから、注意が必要だよ。女性の膣分泌液にもHIVウィルスは存在するよ」

A子「だから感染予防にはコンドームが必要なんですね」

S博士「そうなんだ。HIVウィルスは血液や母乳を媒体としても感染するよ。母子感染がそれだね」

B男「唾液はどうですか?キスでも感染しますか?」

S博士「唾液や汗、涙からの感染は心配しなくていよ。感染経路は限られているから、もし家族が感染してもあまり神経質になる必要はないけれど、恋人や配偶者など、性交渉をする相手が感染した場合は注意が必要だね」

A子「相手がコンドームの着用を嫌がると、強く言えずに困ります」

B男「僕も、最初はちょっと生で入れさせてもらったりしちゃいます」

S博士「さっき話したようにカウパー氏腺液にもHIVウィルスは含まれているから、途中からコンドームを装着しても正しい予防にはならないね。A子ちゃん、女性用のコンドームというのもあるよ。正しく装着できていれば、男性がコンドームをしたのと同様の効果が認められているよ」

A子「聞いたことはあります。男性用のコンドームと比べて高価なんですよね」

S博士「相手がどうしてもコンドームを嫌がるなら、自分を守る方法のひとつとして知っておいた方がいいね。ただ、自分が女性用のコンドームを着用しているとき、相手もコンドームをしてしまうと摩擦ではずれたり敗れたりするから注意が必要だよ」

B男「性交渉をする前に、ちゃんと話し合える相手だといいよね」

A子「私もそう思うな」

S博士「そうだね。不特定多数との性交渉や、行きずりような人との性交渉はHIV感染の恐れがあるから絶対に避けるべきだよ」

エイズの治療

看護師

A子「S博士、HIV検査を受けて陽性になった場合、どうしたらいいですか?」

S博士「まずは病院へ行くことだね。総合病院へ行って自分が受けた検査結果を伝えよう」

B男「もし自分が感染していたら、恥ずかしいし言いにくいなあ…」

S博士「その気持ちはわかるけれど、すぐに病院に行くべきだね。今はHIVに感染していても発症しないように抗HIV薬を使って治療していくんだ」

A子「HIVウィルスを撃退する薬なんですか?」

S博士「残念ながら今はまだ、HIVウィルスを完全に死滅させることができる治療方法はないんだ。抗HIV薬は、以前は副作用も大きかったことからCD4陽性リンパ球の数がかなり減ってから投与していたけれど、今はかなり早くから抗HIV薬を数種類服用するようになってきたよ」

A子「早く治療を始める方が、エイズの発症を送らせることができるんですよね?」

S博士「そうだね。早期に抗HIV薬を服用する治療を始めることには、メリットとデメリットがあるよ。HIVウィルスが増えるのを抑えたり、エイズの発症を送らせたりするかわりに、副作用があったり、後の治療で使う薬の選択肢が減ってしまったりするんだ」

A子「数種類の薬というのはどういったものですか?」

S博士「以前は1~2種類の抗HIV薬だったのだけれど、すぐに耐性ができてしまって効かなくなることが問題だったんだ。今は、強力な抗ウィルス療法(HAART)として、3~4種類の抗HIV薬を服用するよ。そのことにより、以前と比べて飛躍的にHIV感染者のエイズ発症が抑えられているね」

A子「エイズの治療は保険が適応されるのですか?」

B男「ずっと抗HIV薬を飲み続けるなんて、お金がかかりそうで心配です」

S博士「一定の条件を満たせば、身体障害者手帳が交付されるよ。認定されると医療費は軽減されるから、お金の心配をするよりも、とにかく病院へ行くことだね」

B男「わかりました。もし自分が感染しているとわかったら、すぐに病院へ行きます」

エイズ発症時の合併症

診察する医師

A子「S博士、HIVウィルスに感染して発症したら、どんな病気になるの?」

B男「なんだか聞くのも恐いなあ…」

S博士「エイズが発症するということは、体内の免疫力が著しく低下しているということなんだ。つまり、普通の人ならば免疫力で跳ね返してしまうような、病原性の弱い菌にも感染してしまうんだ。その状態を日和見感染症というんだよ」

A子「症状としてはどんなかんじですか?」

S博士「結核では咳や呼吸困難、カンジダ症では粘膜の痒みや痛み、クリプトコッカス症では髄膜炎など、症状は様々でそれぞれに対して薬で治療していくよ」

B男「恐いなあ。すごく痛そうです」

A子「薬で治療すると治るんですか?」

S博士「残念なことに、身体に免疫力がないため、ひとつの症状を薬で治療してもまた他の症状がでてしまったりするし、治療にかかる期間もとても長くなるんだ。投薬で一度症状が軽くなってもまた再発するということも多いんだよ」

B男「だからエイズは治らない病気と言われるし、死に至る病なんですね」

S博士「そうだね。でも正しい予防法をとればHIVウィルスには感染しないから、恐ろしい病気だということを理解した上できちんと予防しよう」

B男「エイズ以外の性病は治療で治るんですよね?」

S博士「B男くんのようにエイズ以外の性病を気軽に考える人がいるけれどそれは恐ろしいことなんだ。クラミジア、淋菌や梅毒に感染しているとHIVウィルスに感染する可能性が数十倍にも高まると言われているんだよ」

B男「そうなんですか!!知りませんでした」

A子「基本的な予防法は正しいコンドームの使用ということで、エイズも他の性病も同じですよね?」

S博士「そうだね。好きな相手ができたら性交渉を持ちたくなるものだね。それを否定はしないけれど、こうした知識を頭の片隅にいつも入れておいて、相手のためにも自分のためにも、きちんとコンドームを使うようにしよう」

A子「彼にもエイズの怖さ、きちんと話しておきます」

HIV感染時の初期症状

症状に苦しむ男

A子「HIVに感染したかどうか、初期症状でわかりますか?」

S博士「HIVウィルスに感染しても、初期症状がまったく表れない人もいるし、初期症状は風邪によく似ているから、初期症状だけで判断はできないね」

B男「風邪に似ているということは、熱や咳がでるんですね?」

S博士「そうだよ。HIVに感染している患者の初期症状として表れやすいのは、発熱、リンパの腫れ、喉の痛み、発疹、筋肉痛・関節痛、下痢・嘔吐の順番になっているね」

A子「うわあ!風邪にそっくりじゃないですか!」

S博士「そうなんだよ。感染に気づかずに内科にかかったとしたら、おそらくいちばん強く出ている症状、例えば喉の痛みなら咽頭炎などと診断されるだろうね。病院にかかればHIV感染の血液検査をしてもらえると勘違いしている人が多いけれど、本人が言わない限り血液検査にHIV感染の検査は含まれていないんだ」

B男「ええっ!そうなんですか?」

S博士「だから、もしも自分がHIV感染の可能性があるのならば、医師に伝えるべきなんだよ」

A子「医師でも症状からではHIV感染かどうかわからないんですね」

S博士「そのとおり。HIVウィルス感染は、血液検査で調べるしか方法はないんだよ。初期症状は、体内に侵入してきたHIVウィルスに対する抗体がまだ作られていないために起こるんだ。抗体ができてHIVウィルスと戦えるようになると症状は収まってしまう。それを潜伏期間というんだよ」

B男「感染しているかどうか心配なまま生活していたら、ただの風邪でもビクビクしちゃいますよね」

A子「そうね。それってすごいストレスだと思うな」

S博士「HIV感染の可能性があるなら、検査キット、病院、保健所のどれかの方法でまずは検査してみることだね」

B男「僕だったら、症状を書いて『これってエイズの初期症状ですか?』ってネットの知恵袋に質問しちゃいそうです」

S博士「医師でも見分けがつかないことを、経験者だとしても、素人がわかるはずがないんだよ。B男くん、なんでもネットで質問して解決するのは良くないよ」

A子「そうね。自分の身体のことだもの、ちゃんと検査を受けた方がいいよね」

妊婦がHIVに感染すると赤ちゃんにも感染するのか?

妊婦

A子「HIVの母子感染について、私は女性なので気になります」

S博士「そうだね。HIVウィルスの母子感染についてすこし説明しよう」

B男「妊娠したときHIV感染していても、出産できるの?」

S博士「出産は可能だよ。妊娠初期には血液検査がおこなわれるから、そこで感染がわかる場合が多いね。初期にわかれば、対策をとって感染しにくくすることができるんだ」

A子「どんな対策が必要なんですか?」

S博士「薬を飲むことと、帝王切開で生むこと、そして赤ちゃんに母乳を与えないことだよ。HIVウィルスに感染していることに気づかず出産すると、約30%の確率で母子感染してしまうけれど、適切な対策を講じれば感染率は1%以下になり、感染する可能性はほとんどなくなるんだ」

A子「母乳を与えない、とか薬を飲むこと、は理解できるけど、どうして帝王切開が必要なのですか?」

S博士「この場合の帝王切開手術は、計画的におこなわれるんだ。緊急時の手術としての帝王切開ではなく、陣痛を起こさないうちに赤ちゃんを取り出すための手術なんだよ」

A子「陣痛が起きるのが良くないのですか?」

S博士「陣痛がはじまると、胎盤が子宮からはがれ始めるんだ。すると胎盤からの出血があり、あかちゃんにHIVウィルスが感染してしまう可能性が増えるんだよ。計画した帝王切開手術で生まれた赤ちゃんの感染率は1%未満なのに対し、普通に陣痛を起こして自然分娩した場合の感染率は20%前後にもなってしまうんだ」

B男「もし僕が父親だったら、HIV感染している母親から赤ちゃんが生まれることに、とても不安を感じるなあ…」

S博士「そうだね。HIV感染の心配をしながらの妊娠出産は決して楽しいものではないだろうね。若い人たちには性交で感染しやすいのが性病としてのHIVだから、妊娠を望まないのであればきちんとコンドームをつけることが大切だね。妊娠を望んでいるカップルならば、念のためふたりとも検査を受けておくのもいいかもしれないね」

HIV感染後に体内で起こること

体内

A子「S博士、HIVに感染すると身体では何が起こるのですか?」

S博士「HIVはヒト免疫不全ウィルスという名前なんだけれど、名前の通り最終的にはヒトの免疫力を低下させるんだ。粘膜から侵入したHIVや傷口などから血液に入り込んだHIVウィルスは、血液に乗ってリンパにたどり着く。そこで増殖をはじめるんだよ」

B男「わあ。なんだか恐いなあ」

S博士「感染してからHIVがリンパにたどり着くまでだいたい2週間程度と言われているよ。HIVが増殖すると、ヒトの身体は抗体をつかってHIVウィルスを攻撃するんだ。これを初期症状というんだけれど、風邪によく似た症状で発熱やのどの痛み、倦怠感などが2~3週間続くよ」

A子「検査を受けないと、症状だけでは風邪だと思い込んでしまいますね」

S博士「そうなんだよ。ヒトの抗体によって数が減ったHIVウィルスは、その後潜伏期間に入るんだ。感染から6ヶ月程度でウィルスの数は安定し、症状は何もなくなるから、普通に生活ができるよ」

B男「症状がないなんて、感染者が増えてしまいそうですね」

A子「そのままウィルスがなくなるということはないのですか?」

S博士「そうなんだ。他のウィルスだと、完全になくなることもあるんだけれど、エイズの場合は完全にウィルスがなくなることはないよ」

A子「潜伏期間はどのくらいですか?」

S博士「さっきウィルスの数が安定する、と言ったよね?それは、ヒトの免疫とHIVウィルスが戦っている状態なんだ。すこしでもHIVウィルスが優勢になり始めると免疫力が低下し、発症に至るよ。潜伏期間は5年~10年と言われていたけれど、今はきちんと治療して本来の寿命まで発症を抑えることができている人もたくさんいるよ。その反面、全体で見ると2000年以降、潜伏期間が短くなり、5年以内に発症する人が増えていると言われているんだ」

A子「発症するとどんな症状が出るのですか?」

S博士「通常ならかからないタイプの、非常に治療が困難な感染症にかかったりするんだよ。免疫力が非常に低下するとそういった感染症に罹るんだね」

エイズ検査の受け方

診察室

B男「エイズに感染したかどうか、検査を受けたいのですが…」

A子「検査なら病院じゃない?」

S博士「HIVに感染しているかどうかは、保健所では無料、匿名で検査できるよ」

B男「病院や保健所だと、誰か知り合いに会っちゃったら嫌だなあ」

A子「私も、もし自分が検査を受けるなら、誰にも知られたくないな」

S博士「そうだね。でもずっと不安なままでいるよりも、早めに検査して治療を開始するほうがいいね。インターネットで購入できる検査キットもあるよ」

B男「それなら誰にも会わないし、やってみてもいいな。S博士、HIVの検査って確か血液検査ですよね。自分で採血ってできるんですか?」

S博士「検査にはそれほどたくさんの血液が必要なわけではないんだ。キットの中に、清潔に保たれた針のついたものが入っているから、解説書の手順をよく読んで、指先に針を刺して血液を採取するよ。検査紙に必要な分の血液を染み込ませて検査に出すんだ」

B男「ええっ。自分で血を出すんですか…。なんだか恐いなあ」

A子「保健所での検査はどんなふうなんですか?」

S博士「年齢と性別だけは訊かれるよ。まずは保健所に電話をして、いつ検査が受けられるか予約を取るんだ。保健所によって検査の日が違うから注意が必要だね。B男くんは知り合いに会いたくないようだから、地元の保健所ではなくて、自分と関係のない地域の保健所へ行ってみたらいいかもしれないね」

B男「地元の保健所じゃなくてもいいんですか!」

S博士「そうなんだ。日本では感染を防ぐために、検査は無料、匿名でできるようになっているよ。ただ、検査したその日に結果がでる保健所と、一週間後に結果を聞きに行く保健所があるから、結果を聞きに行くならあまり遠い場所だと大変だよ」

A子「費用の面ではどうですか?」

S博士「病院ではHIV検査は基本的に自己負担で3000円~7000円程度。検査キットとほぼ同じ金額だね」

B男「病院では保険がつかえるのかと思っていました」

S博士「場合によってはつかえるんだよ。医師の判断によるけれど、例えばB男くんがHIV感染しているかどうか不安だから検査をすると言う場合は自己負担。なんらかの身体の異常を感じていて、HIVを疑って検査するなら保険適応になるよ」

B男「僕はとりあえず、知らない場所の保健所に電話してみようと思います」

HIV検査について(検査の種類 陽性・陰性・擬陽性)

血液検査

B男「S博士、HIV検査は感染が疑われる出来事のあった日からどのくらい経ってから受けたらいいですか?」

S博士「HIV検査は血液を採取し、その中にあるHIV抗体を調べるよ。感染してすぐはまだHIV抗体が作られていないから検査はすべて陰性と出てしまうんだ。通常HIV抗体は4週間~8週間程度で作られるけれど、個人差もあるから国では感染の疑われる出来事のあった日から3ヶ月後にHIV抗体スクリーニング検査を受けるようにすすめているよ」

B男「そんなに長い間不安な気持ちでいるなんて嫌だなあ…」

S博士「Real Time PCR検査という検査方法なら、2~3週間で陽性かどうかわかるよ。この検査で陰性だった場合でも3ヶ月後にはHIV抗体検査を受ける必要があるね」

A子「一度の検査ではわからないのですか?」

S博士「HIV抗体スクリーニング検査では、陽性の人を逃してはいけないという意味で、とても感度が高くなっているから、陰性かもしれない人まで陽性と判断してしまうことがあるんだ。HIV検査にはPA法、WB法、PCR法などがあるから、確認検査は違う種類の検査でもう一度受けるようになっているよ」

A子「インターネットで調べると、即日検査というのも目にしますが…」

S博士「病院で採血をする検査で、その日に結果が出る検査方法だね。即日検査では擬陽性が出やすいんだ」

B男「擬陽性ってなんですか?」

S博士「即日検査では陽性反応が出るように感度を高くしてあるんだよ。だから一度陽性と結果が出ても、77%は擬陽性ということなんだ。もう少し時間をかけておこなう通常検査でも擬陽性は50%になるよ」

B男「最初の検査で陽性になっても、半分の人は擬陽性ってことですね?」

S博士「そうだね。残り半分は陽性、つまりHIV感染者だね」

B男「確認検査の結果を見るまではわからないのですね」

S博士「そうなんだよ。擬陽性だったとわかるのは、陰性だという結果が出たときだね」

A子「それまではすごく不安でしょうね…」

S博士「そうだね。感染しないような生活をする方がいいね」

エイズの歴史

書物

A子「S博士、エイズはどのくらい昔からあるのですか?」

S博士「エイズのウィルスであるHIVについては諸説あるんだよ。孤立したアフリカの部族が元々保菌していて、他の部族に感染した際に突然変異で毒性のウィルスになったという説と、アフリカの猿のHIVが何らかの理由で人に感染したという説が有力なんだ」

B男「アフリカの貧困層にエイズ患者が多いって聞いたことがあります」

S博士「他にも、核実験により突然変異したウィルスがHIVであるとか、遺伝子操作により作られたのがHIVであるなど、様々な説があるよ」

A子「まだよくわかっていないと言うことですね」

S博士「そうだね。HIVの最初の発見は、1981年に肺炎の症状で亡くなった患者からなんだけれど、フランスのパスツール研究所でその原因ウィルスが特定されたのは1984年になる。比較的新しく発見されたウィルスと言えるね」

B男「肺炎で亡くなったのになぜHIVだと疑ったのかなあ」

S博士「同じ時期に、若くて健康にはなんら問題がなさそうな男性数名が肺炎になったため、身体を守る免疫に問題があるのではないかと疑われたんだよ」

A子「免疫がなくなるのがエイズなんですよね?」

S博士「そうだよ。エイズは日本語で言うと『後天性免疫不全症候群』と言うんだ」

B男「発見されてから30年くらいは経っているのに、まだ治療法はみつからないのですか?」

S博士「今はまだ、エイズを完全に治療する方法はみつかっていないんだ。HIVに感染しても、発症をできるだけ遅らせるようにするという抗ウィルス剤の使用が中心だね。エイズのみつかった1981年というのは、それまで人類を苦しめてきた天然痘を、予防接種によりついに撲滅したとWHOが発表した翌年なんだ」

A子「せっかく天然痘がなくなったのに、エイズがみつかったのですね」

B男「感染するウィルスならば、予防接種で防げたらいいのになあ」

S博士「そうだね。完治する治療法や、予防方法が発見されるといいね」